職人の磨きの技術


ジュエリーショップに並ぶたくさんの商品


表面が鏡のように均一でツヤツヤしています。


普段何気なくショップに並んでいるジュエリー達をみて


綺麗だけど値段高いな〜と思ったことありませんか?


実は1個1個に職人の人生分の経験や技術のすべてが凝縮されている


と言われたら値段に関する感じ方が少しだけ変わってきませんか?(^^)


ということで今回は作業の一つ"磨き"について指輪を例として順番にゆるゆると書いてみようかなと思います。


まず研磨の基本は、目の粗いヤスリから細かいヤスリへ順番にかけていって


表面を削り、目に見えない細かさまで傷を持っていくことです


美術の授業で習うグレースケールの一番端っこの真っ黒を鉛筆で描くときのように、


傷(線)の上から傷(線)で上書きしていくことで最終的に隙間が埋まっていってつるつるになります


最初は消したい傷を観察してその深さに合わせて使うヤスリの細かさを決めます


ここで選ぶヤスリの目が粗すぎると、ヤスリ目(ヤスリがかけられた跡)を徐々に細かくしていくために使うヤスリが必要なため手間と時間がかかります


逆に、最初に傷に対して細かすぎるヤスリを選ぶと、削ることが出来る深さが浅いためなかなか傷の一番深いところまでヤスリが届かずに手間と時間がかかります


そのため最初にどの粗さのヤスリを選ぶか意外と大事になってきます

ヤスリを選んだら磨いていきます。


指輪をしっかり持ってすり板に固定、利き手でヤスリを持ちます。


ここでしっかりとすり板固定して持たないと指輪に当たるヤスリの力が安定せず、


いつまでたっても均等な形に磨くことが出来ません。。。


固定したら指輪を持っている手の親指をヤスリが通る道のガイドにして


手前から奥へ指輪の形にそって1本の線を書くように表面をヤスリで削ります。


強い力もいりません。ヤスリのもともとに重さを利用して、


添えた人差し指で削る面を感じながらヤスリ全体を使って擦ります。


ヤスリにはのこぎりのようにヤスリ目という刃の向きがあり、手前から奥へ押して削ることで効率よくきれいに磨くことが出来ます。


ヤスリを使うときにやってしまいがちなのがギコギコと前後に動かして削ること。


これはヤスリを引いたときにヤスリの刃の向きに逆らって動かしていることになるので作業効率が落ちると同時に、ヤスリ目の摩耗が激しいために道具自体が早くだめになってしまいます。


もう一つやりがちなのが、傷部分を集中的に磨くこと。


これをすると指輪の全体像を見たときに1部だけ凹んだ、いびつな形になってしまいます。


そのため傷部分だけでなく全体も一緒にヤスリをかけて形を整えながら磨いていく必要があります。


少し脱線しますが、全体の形を均等に保ちながら無駄なく磨くために基礎が必要となるのが甲丸リングと呼ばれる形の指輪です。

甲丸リングは全体の厚みが左右上下どこを測ってももれなく均等で、


丸みを帯びた部分もどこをみても同じ角度の曲線が続くこと、


そして丸みの頂点部分が一番高くすべて同じ高さにあることが条件になってきます。


甲丸リングは貴金属装身具製作技能士の3級の内容にもなっていて誤差±0.1mm以内で試験が行われています。

同じ方向に、一定のリズムで、一定の力で、全体の形を見ながら研磨していく…


これを繰り返すと工房に正しいヤスリの音が響き渡ります。


経験を積んだ職人になってくるとヤスリがけの音一つで


何をやってしまっていて作業がうまくいっていないのか、


また、音だけで作っている人の技量や工房全体の質までわかってしまうなんてことも…

ただ削っているだけにみえて磨きだけでも実は歴代の職人さんたちの工夫や技術が積み重なって今のジュエリーたちがお店に並んでいます。


次ショップへ行くときは値段もみつつ、


職人の心がこもったジュエリー自体も見ていただけると嬉しいです(^^)



itoaware -いとあはれ-大阪店

指輪屋 itoaware -いとあはれ- 最安で3,300円(Silver)から作ることができ、当日中にお持ち帰りが可能な手作りリングのお店です。 梅田から徒歩10分程のところにあるレトロな中崎町の古民家で職人が1点1点丁寧に仕立てます。 素材はSilverをはじめ、ゴールドやプラチナもございます。 指輪の内側に刻印を入れることも可能です。

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